令和8年度 研究活動報告(放射線)

令和8年4月7日、保健学科A棟大講義室とzoomのハイブリッド形式にて東北大学医学部保健学科同窓会総会が開催されました。

令和8年度の研究活動報告では、東北大学大学院医学系研究科に在籍する大学院生によるポスター発表が行われました。

こちらのページでは、放射線技術科学専攻の大学院生6名の研究活動報告をご紹介します。

 

進藤僚太さん(放射線検査学分野 博士3年)
「インターベンショナル・ラジオロジーにおけるボトムシールド付き鉛防護眼鏡の水晶体防護効果向上可能性」
私はインターベンショナルラジオロジー(X線画像を用いた診断・治療)に従事する医師の眼の水晶体の放射線防護の最適化について研究しています。今後は、防護状況の多様性や変化を考慮した被ばく線量予測手法の構築と防護の最適化に取り組みたいと考えています。入学当初は学部卒業後に放射線技師として就職するつもりでしたが、気が付けば博士課程3年生になっていました。研究は一筋縄ではいかないことも多いですが、新しい技術を身に付けた時や、良いデータが得られた際には大きな達成感を味わえます。博士課程は研究の自由度が高く、共同研究の機会も多いため充実しており、時間をかける価値は十分にあると思います。興味のある方は、ぜひ臆せず挑戦してみてください。

放射線検査学分野HP

下橋航大さん(放射線検査学分野 博士2年)
「IVR術者の水晶体被ばくの実態」
本研究では、心臓血管カテーテル検査・治療に従事する医師を対象に、水晶体用線量計を用いて水晶体の被ばく線量(Hp(3))を直接測定し、線量限度引き下げ前後での変化を評価しました。従来は推定値で評価されることが多かった水晶体線量を実測することで、より実態に即した被ばく評価を行うことを目的としました。結果を通して、日常診療における防護の重要性や課題について改めて認識する機会となりました。今後は、術者の行動や防護状況と被ばくの関係についてさらに検討を進め、安全で質の高い医療の提供に貢献していきたいと考えています。同窓生の皆様におかれましても、それぞれの分野でのご活躍をお祈りするとともに、今後もご指導・ご助言を賜れますと幸いです。

放射線検査学分野HP

佐々木理桜さん(放射線検査学分野 修士2年)
「β線計測器の校正用面線源を用いた携帯用小型GMサーベイメータの基本性能に関する検討」
本研究では、携帯用小型GMサーベイメータである「RADEYE B20J」の基本的な性能について検討しました。β線を出す36-Clと90-Srを用いて、ScalerモードとRatemeterモードのそれぞれで測定を行いました。その結果、B20Jはβ線に対して安定した測定が可能で、ばらつきも小さいことがわかりました。さらに、面線源を用いた測定では、点線源よりも安定した結果が得られました。これらのことから、B20Jは表面汚染の測定に適した特性を持つと考えられます。今後は「RADEYE B20J」の追加フィルタを使用した場合の性能評価について検討を行っていきたいと考えています。大学院では実験や学会発表等を通して、専門知識を増やすだけでなく、新しいスキルを身につけることができます。ぜひ後輩の皆さんには、大学院進学をお勧めします。

放射線検査学分野HP

新山陽里さん(放射線治療学分野 修士2年)
「子宮がん小線源治療計画の自動輪郭描画における画像表示条件の最適化に向けた初期検討」
子宮頸癌・子宮体癌患者に対する3次元画像誘導小線源治療において、治療計画の効率化を目的とした研究に取り組んでいます。治療計画は治療の質と安全性を両立するうえで不可欠ですが、時間がかかり医療従事者や患者さんの負担につながります。そこで治療計画の工程の中で最も時間がかかる臓器の輪郭作成を深層学習を用いて自動化することによって治療計画時間の短縮を目指しています。今回、深層学習モデルに入力するCT画像の最適なコントラスト条件の検討について発表させていただきました。この研究結果を用いてデータの追加や深層学習モデルの学習条件の変更を行い、臨床導入可能な水準の達成を目指しています。後輩の皆さんにも興味を持っていただけるとうれしいです。

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小田まりやさん(画像診断学分野 修士2年)
「死後CT画像における心臓周囲脂肪CT値の変動:心肺蘇生の影響」
死後CT画像を用いた死因究明の精度向上を目的とした研究に取り組んでいます。本研究では、死後心臓CT画像において、冠動脈周囲脂肪CT値の変動に心肺蘇生(CPR)が与える影響について検討しました。今後は、死後CT画像と死後関連情報を用いた虚血性心疾患判定に対するAIの有用性を検討していく予定です。後輩の皆さんにも興味をもっていただけると嬉しいです。

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畑野安奈さん(画像解析学分野 修士2年)
「顎骨病変における個人差補正を考慮した骨SPECT/CT定量解析法の検討」
私は現在、顎骨病変における骨SPECT/CTを用いた定量評価の臨床活用を目指し、研究に取り組んでいます。顎骨病変の画像診断において、パノラマX線写真やCT、MRIといった「形態画像」は不可欠ですが、骨シンチグラフィなどの「機能画像」を組み合わせることで病態への理解を深め、定量的に炎症の強度を評価することができます。現在、PET検査ではSUVなどを用いた定量評価は多く行われていますが、SPECT領域での定量評価はPETに比べ、まだ十分に活用されているとは言えません。そこで私は、SPECTにおけるSUVの精度を向上させるため、個体差による影響を補正する手法の検討を行いました。今後は、この補正法の信頼性をさらに高めるとともに、予後予測や治療効果判定といった臨床現場での具体的な有用性を明らかにしていきたいと考えています。この研究をきっかけに、後輩の皆さんもぜひ核医学に興味を持っていただければ嬉しいです。

画像解析学分野HP