令和8年度 研究活動報告(看護)

令和8年4月7日、保健学科A棟大講義室とzoomのハイブリッド形式にて東北大学医学部保健学科同窓会総会が開催されました。

令和8年度の研究活動報告では、東北大学大学院医学系研究科に在籍する大学院生によるポスター発表が行われました。

こちらのページでは、看護学専攻の大学院生6名の研究活動報告をご紹介します。

 

看護技術開発学分野看護技術開発学分野HP)

ー曽根育恵さん
「乳酸菌 Enterococcus faecalis KH2由来膜小胞 (Membrane Vesicle: MV) がマクロファージ分極化に与える影響」
 細胞はナノサイズの膜小胞を分泌し、分泌された膜小胞は、免疫細胞の活性化に関与することが知られています。本研究では、微生物である乳酸菌が分泌した膜小胞が免疫細胞マクロファージに与える影響について着目し実験を行いました。研究は大変なこともありますが、「まだわかっていないことがわかる」ことが非常に面白いところです。後輩の皆さんにも、研究の楽しさを少しでも感じていただければ幸いです。

 

緩和ケア看護学分野 (緩和ケア看護学分野HP)

ー石田美空さん
Development of Machine Learning Models to Identify End-of-Life Discussions and Advance Care Planning in Electronic Medical Records for Evaluating the Quality of Palliative Care in Japan
 緩和ケアの質評価では、カルテ記載を振り返り、患者に対してどのようなケアが実施されたかを判断するという手法があります。しかし、カルテを読むことは、時間的・人的な負担が大きく、継続して実施することが困難であるという課題があります。 本研究では、機械学習と自然言語処理を活用し、電子カルテの自由記載から緩和ケアの質評価をすることの実現可能性について検討しました。 結果として、機械学習と自然言語処理を活用したモデルでの質評価は、米国の先行研究と同程度の性能で実施できることが明らかになりました。 今後も、臨床に還元できるような研究を目指していきたいと考えています。 後輩の皆さんには、研究の面白さに触れていただければと思います。

 

公衆衛生看護学分野 (公衆衛生看護学分野HP)

ー室田絢香さん
看護小規模多機能型居宅介護利用者の主介護者が捉えたそこから受けるケアの意味」
 看護小規模多機能型居宅介護利用者の主介護者に着目し、彼らが捉えた看護小規模多機能型居宅介護から受けたケアの意味について質的分析に取り組み、その成果について研究発表を行いました。発表に向けた準備や当日の質疑応答を通して、多くの学びや気づきを得ることができ、大変貴重な経験となりました。また、他の方の発表からも多くの刺激を受け、改めて研究の面白さや奥深さを実感しました。今後はより多様な事例を対象に検討を深め、在宅ケアにおける支援の質向上に貢献していきたいと考えています。皆様にも研究の魅力や楽しさを少しでも感じていただけましたら幸いです。

ー山本あかねさん
父親に対する出産前教育の内容と効果に関する文献レビュー」
 私は、国内外の父親に対する出産前教育の内容と効果に関する文献レビューを行いました。結果では、精神的側面・育児態度行動・社会的側面で効果が確認されました。また、妊娠中期以降の継続介入やオンライン教育の有効性も示され、効果的なプログラム開発に資する可能性が示唆されました。
自分の興味のあるテーマについて知識を深め、追求していく研究活動はとてもやりがいを感じられます。後輩の皆さんには、研究を少しでも身近に感じていただけましたら幸いです。

ー山崎珠々さん
ナッジの効果持続性に関する文献レビューー健康的な生活習慣をナッジできるかー」
 生活習慣改善に対するナッジの効果持続性について研究発表を行いました。
近年、強制することなく望ましい行動をそっと後押しする「ナッジ」が行動変容の新たなアプローチとして注目されています。しかし、その効果持続性は不透明です。本研究では、先行研究を分析し、関心を引く(Attractive)手法は対象者の特性に左右されやすく、デフォルトを設定する(Easy)手法は介入終了後も効果が持続しやすい可能性を明らかにしました。
今後はこれらの知見を現場へ実装するプロセスを深掘りしたいと考えています。後輩の皆さんにも興味をもっていただけると嬉しいです。

ー藤田明寿さん
小児期の受診を促進・抑制する要因に関するスコーピングレビューによる検討
 小児期の受診要因に関するスコーピング・レビューの口演発表を行いました。 本研究では、小児期という家族の影響が強く表れるライフステージならではの結果がみられました。今後は本研究を基に、家族の影響を受けながらも、小児自身が「自らの健康を維持向上させる行動」の支援につながる知見の提供を目指していきます。本研究の実施にあたっては、指導教員やゼミの皆さんをはじめとした周囲の環境に恵まれて、口演発表まで進めることができました。後輩の皆さんも、時には周囲の力も借りつつ、研究の知識と技術を磨いていただければと思います。