令和7年4月7日、保健学科A棟大講義室とzoomのハイブリッド形式にて東北大学医学部保健学科同窓会総会が開催されました。
令和7年度の研究活動報告では、東北大学大学院医学系研究科に在籍する大学院生によるポスター発表が行われました。
こちらのページでは、放射線技術科学専攻の大学院生3名の研究活動報告をご紹介します。
進藤僚太さん(放射線検査学分野 博士2年)
「IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)手技における眼の防護の重要性」
インターベンショナルラジオロジー (IVR) は主にX線画像による透視下でカテーテル等のデバイスを用いて行う治療の総称であり、開胸や開腹を伴う外科手術と比較して患者の術後の回復期間が短く、合併症の発症率も低い利点がある。また、近年新たなデバイスが開発され、適応となる疾患が幅広くなっている。そのため、IVRの実施件数は発展途上国も含めて世界的に増加している。その一方で、現在、IVR医師の職業被ばくによる白内障の発症が問題となっている。白内障の予防には、眼の被ばく線量の管理、IVR手技中に照射する線量の最適化、X線の防護が重要である。本研究の内容はX線の防護に位置付けられており、IVRで最もよく用いられる防護具の一つであるX線防護眼鏡の性能を評価した。
秋澤彩乃さん(放射線検査学分野 修士2年)
「住民用個人積算線量計に関する基礎的検討」
住民用個人積算線量計「D-シャトル」に関する基礎的な性能評価の研究についてポスター発表させていただきました。東日本大震災による福島第一原発事故後、住民の健康管理や被ばく線量の把握が重要視されてきた中で、D-シャトルは個体差や電池交換による影響が小さく、簡便かつ継続的に線量を測定できる機器であることを確認しました。今後は、装着時の角度依存性や周囲の電磁波環境による影響についても検討を進め、より高精度で実用的な被ばく評価に貢献したいと考えています。後輩の皆さんには、研究を少しでも身近に感じていただけましたら幸いです。
高橋季莉華さん(放射線治療学分野 修士2年)
「子宮癌3D-IGBT(三次元画像誘導密封小線源治療)計画におけるOAR(リスク臓器)の自動コンツーリングに向けた初期検討」
子宮頸癌・子宮体癌患者に対する3次元画像誘導小線源治療において、治療計画の効率化を目的とした研究に取り組んでいます。治療計画は、治療の質と安全性を担保するために不可欠な手順ですが、時間を要するために患者さんの負担の増大や治療精度の低下が課題となります。そこで、治療計画の中でも特に時間を要する臓器の輪郭作成の手順に着目し、深層学習を用いた輪郭作成の自動化を行うことによって治療計画時間の短縮を目指しています。今後は、本技術の臨床導入を目標に、精度評価や解析を行っていく予定です。後輩の皆さんにも興味を持っていただけると嬉しいです。