令和7年4月7日、保健学科A棟大講義室とzoomのハイブリッド形式にて東北大学医学部保健学科同窓会総会が開催されました。
令和7年度の研究活動報告では、東北大学大学院医学系研究科に在籍する大学院生によるポスター発表が行われました。
こちらのページでは、放射線技術科学専攻の大学院生4名の研究活動報告をご紹介します。
臨床生理検査学分野 修士2年 山本花鈴「マウス心臓におけるミトコンドリア・コネキシン43のNa+/Ca2+交換体調節を介した不整脈発生への関与」
ミトコンドリア内膜KATPチャネルとともに、ミトコンドリア膜電位の過分極を引き起こし、催不整脈性が亢進することを明らかにしました。
不整脈発生に大きく関わるといわれているミトコンドリア内膜Cx43とミトコンドリア内膜KATPチャネルの役割に着目し、Cx43が不整脈発生にどのように関与するのかを研究テーマとしてポスター発表させていただきました。
心筋特異的Cx43欠損マウスの心室筋より多細胞心室筋モデルを作製し、ミトコンドリア内Ca2+やミトコンドリア膜電位を測定しました。
ミトコンドリア内膜Cx43の欠損は、ミトコンドリア内Ca2+を増加させ、NCLXの変化を介してミ後輩の皆さんもこれから様々な勉強を通して、研究に対し関心を持っていただければと思います。
感染病態学分野 修士1年 西田朱里「クリプトコックスによる抗原提示細胞刺激へのFTY720の影響」
大学院では、クリプトコックス感染における宿主免疫応答の解析を行っています。研究活動を通して、自分の興味を深く掘り下げることができ、学部とは異なる学びの面白さを実感しています。後輩のみなさんも、少しでも興味があれば、ぜひ大学院進学を前向きに検討してみてください。
病理検査学分野修士2年 中村佳乃子「乳癌におけるAMIGO2(amphoterin誘導遺伝子および ORF2)の役割」
私は現在、乳癌の進展に関わる膜貫通型タンパク質AMIGO2の研究を病理組織学的手法を用いて行っています。AMIGO2は胃癌や大腸癌においてその動態が明らかにされていますが、乳癌における役割は未だ不明です。そこで、ヒト乳癌組織を用いた免疫染色や培養細胞を用いた機能解析を行い、AMIGO2が乳癌の増殖や転移に寄与し、予後不良因子であることを初めて明らかにしました。今後は博士課程への進学を予定しており、この研究をさらに深化させていくつもりです。
大学入学当初は、博士課程に進学するとは想像もしていませんでしたが、自ら研究計画を立て実験することの楽しさを実感しています。自身の興味のあることに向き合える環境はなかなか魅力的だと私は思います。
病理検査学分野 修士2年 古賀優花「乳癌におけるリゾホスファチジン酸受容体1(LPAR1)の役割」
病理検査学分野、博士前期課程2年の古賀優花です。私の研究テーマは「乳癌におけるリゾホスファチジン酸受容体1(LPAR1)の役割」です。リゾホスファチジン酸(LPA)は6つのG蛋白質共役型受容体(LPAR1-6)と相互作用し、多様な生物学的活性を発揮します。LPAは卵巣癌で過剰産生され、予後不良因子として報告されていますが、乳癌での役割はほとんど不明です。そのため、私は乳癌におけるLPAR1の影響について研究しています。また、今後は組織線維化や免疫チェックポイント分子との関連を検討したいと考えています。現在、私は常に新たな発見と学びの尽きない、充実した研究生活を送っています。今回の発表を通じて、後輩の皆さんが研究活動に興味をもつきっかけとなれば、大変嬉しく思います。