植田琢也先生(画像診断学分野)がご退職されましたので、ご挨拶を頂戴いたしました。
2018年9月に画像診断学分野の教授に就任して以来、私は乳癌や心不全患者の予後予測、新型コロナウイルス感染症の重症化因子の解析といった幅広いテーマに取り組み、人工知能(AI)や数理学的手法を駆使した画像診断の研究を推進してきました。2020年1月には東北大学病院内にAI Labを設立し、医療におけるデータ駆動型アプローチの基盤を整備しました。これらの取り組みは診療科とAI研究の連携を促進し、Smart Hospitalの概念を現実のものとしました。さらに、2020年10月には文部科学省のAI人材養成プロジェクトに採択され、AIによる医療の未来を牽引する教育拠点としての役割を担ってきました。
教育面では、放射線技術科学専攻の学生たちに放射線診断の基礎から、医療画像に対するAI診断に至るまで、幅広い知識と技術を提供しました。臨床学的見地に基づいた医学基礎知識の教育や、放射線技術学専攻のタスクシフトに伴う履修内容の変更に対応した教育にも力を入れ、将来医療現場で求められる高度な技術者の育成に努めてきました。
これらの努力が、社会に対する私たちの貢献として、そして皆様の温かい支援と励ましにより実現できたことに、深い感謝の意を表します。今後、医師の業務のタスクシフトが進むにつれて、放射線技師の役割はさらに重要性を増してきます。高度な知識と技術、そして判断能力が今後さらに求められる中、皆さんが学び、研究し、そして臨床で活躍することが、医療の未来を切り拓くために欠かせません。
これまでの歩みを振り返ってみると、多くの挑戦があったことが思い起こされます。微力ながら、これらが放射線技術学のさらなる発展に寄与し、医療全体の質を向上させていくものと信じています。私が築いた基盤の上で、皆さん一人ひとりが新しい発見と技術の開発に励み、成長していくことを心から願っています。
放射線技術学専攻の在校生、卒業生の皆様、諸先生のますますのご発展を楽しみにしております。放射線技術学の未来は、皆様が形作るものです。夢に向かい、果敢に挑戦し続けてください。